猫背がひどくなる前に(2)
姿勢は綱引き?猫背で弱くなりやすい菱形筋
前回は胸にある小胸筋というインナーマッスルが短く縮んでしまうことが猫背の原因になるとお話ししました。今回はその逆で長く伸びてしまうことで猫背の原因になってしまう筋肉を紹介します。その筋肉とは菱形筋です!
背骨から肩甲骨の内側についている筋肉で、肩甲骨を背骨にひきつける作用があります。
姿勢を決める要因のひとつに筋肉のバランスがあります。
身体の前にある小胸筋や大胸筋は肩甲骨を外に引っ張ります(肩を内側に入れます)
逆に身体の後ろにある菱形筋、広背筋などは肩甲骨を内に引っ張ります。
わかりやすくお伝えするなら、体の前側についている筋肉と体の後ろ側についている筋肉が綱引きをし、均衡が保たれている状態が正しい姿勢といえます。
しかし前回もお話したように長時間のデスクワークやPC、スマホ操作なので前屈みの姿勢を長く続けていると小胸筋・大胸筋などの前側についている筋肉が短く縮まってしまいます。すると今度は背中にある筋肉の菱形筋や僧帽筋、広背筋が伸びた状態になり凝り固まって筋肉が弱くなってしまいます。
この筋肉のバランスが当たり前になってしまい、どんどんバランスがくずれることにより、猫背が進行し頭痛、首、肩こり、呼吸のしづらさなどにつながっていきます。
菱形筋のトレーニング
小胸筋、大胸筋に綱引きで負けてしまっている菱形筋、広背筋を鍛えて正しい姿勢に近づきましょう!
(1)脚を伸ばし床に座ります。両足の裏にチューブをひっかけ、手を軽く伸ばした状態でチューブがたるまないように引っ張ります。
(2)息をゆっくり吸い肩甲骨を寄せることを意識しながら、ひじを曲げてロープをチューブ引いていきます。
(3)拳が腰骨にくるところまで引っ張たら、背中が丸まらないように意識しながらゆっくり戻す。
(4)10~15回を2,3セットおこないます。
菱形筋をしっかり鍛えることで、自然に肩甲骨が内側により胸が開いた状態をつくることができる様になっていきます。
菱形筋のストレッチ
猫背が長く続くと、菱形筋は引き伸ばされたまま凝り固まってしまいます。またトレーニング後のケアも含めてしっかりストレッチをやっていきましょう。
(1)椅子に深く座り、両手を肩の高さに組みます。
(2)顎を引きながら、背中を丸め、ゆっくり前方に腕を伸ばしていきましょう。
(3)両側の菱形筋に心地よい伸びを感じたら、20秒キープしましょう。
もし物足りなさを感じるようでしたら上の図の状態から、体を右に傾けつつ、右に回していけば左側の菱形筋がかなり強くストレッチしていけます。
まとめ
姿勢は前と後ろの筋肉の引っ張り合いで決まることがあります。短く縮みやすい筋肉には特にストレッチが有効で、伸びて弱くなった筋肉には筋力トレーニングが必要になってきます。
猫背は背中にある菱形筋や広背筋、僧帽筋中部、下部繊維の筋力が弱くなることが大きな原因の一つです。
ストレッチやマッサージ、鍼などでケアしつつ、しっかりと鍛えることで負担の少ない正しい姿勢を手に入れましょう。